テーマ:「米国観光旅行」
書き込み期間:2002/03/26〜2002/04/07
要旨:
 私の娘が留学しているアメリカへ旅行に行き、下條さんの研究室を訪れました。
 下條さんは「感情は自分のものではない」という学説を持っている人です。
 一般に好き嫌いや感情などの主観は自分のものであると思われている中で、「自由意志は果たして本当に自分のものなのか?」という問題提起をして研究を進めています。
 下條さんの実験によれば、好き嫌いの感情さえも外側からコントロールされるようなのです。
 遠隔で脳に刺激を与えて指を動かすという実験も行っています。
 下條さんが現在研究している分野は、まだ誰も踏み込んでいない、最先端の領域を行っています。
 こうした研究は、アメリカほど宗教色が強くなくて、自然と科学の両方を受け容れる土壌のある日本人だからこそできるのではないかという話も出ました。
 アメリカ旅行中に、ユニバーサル・スタジオへ遊びに行きました。
 そこでは40ドルでどんなに混んでいても並ばずに入れるチケットというものが売られていて、それを買って入場しました。
 しかし、このチケットを買う人は他にほとんどいなかったのです。何故かと考えました。
 そのチケットは場内がすいている場合は何の得もありません。そして場内が混んでいるかすいているかは、チケットを買う前には分からないのです。そして一度チケットを 買って場内に入ると買い替えはききません。
 まるで運命の法則のようだと思いました。運命は後から変えることは出来ません。未来を知っていれば「確実な投資」をすることができ、知らなければ「不確実な賭け」をせざるを得ないということです。そして運命が切り替わる瞬間は一瞬なのです。
目次
○『ビッグ・フィッシュ』(2004/04/04)
○下條さんの研究室(2004/04/05)
○「感情は自分のものではない」(2004/04/06)
○自由意志に切り込む(2004/04/07)
○天才(2004/04/08)
○ユニバーサル・スタジオ(2004/04/08)
○UCLA(2004/04/10)
○カリフォルニア工科大学(カルテック)(2004/04/11)
○ウサギの自殺本
○『ペイチェック』(2004/04/13)
○アメリカ観光旅行最終書き込み(2004/04/13)
『ビッグ・フィッシュ』(2004/04/04)

 行きの機内で見た映画は『ビッグ・フィッシュ』です。
 すごいマイナーな映画だと思いますが、ヘンテコで面白かったです。
 主人公は子供の頃、魔女から自分が死ぬ場面を教えてもらいます。
 それがあるので、色々な冒険が出来ます。
 巨人(怪物)に向かって「早く俺を食べろよ」なとど言います(笑)。
 なぜそんなことが言えるかといえば、そういう状況では死なないからです。
 死ぬ場面を知っているのは便利です(笑)。
 私も自分の命日を知っているのは、便利です。
 主人公は現実離れした話(つまりホラ話)をするのが好きでした。
 家族のみんなはそれを楽しんでいましたが、息子だけは全く信用していませんでした。
 しかしある日、父の資料から、父がよくホラのネタとして使っていた不思議な村の場所を知ります。そして息子はそこに出かけていきます。すると本当にその村があったのです。
 父は病院で息を引き取ろうとしていました。
 息子はそこに駆けつけ、父にある話をしました。
 それは父が言われていたという、父が死ぬときの話です。
 不思議な村の人に讃えられながら、湖の中に入って、大きな魚になるということでした。
 息子がその話を終わったとき、主人公である父は息を引き取りました。

下條さんの研究室(2004/04/05)

 下條さんは、『不思議の友』にも書いたことがありますが、『サブリミナルマインド』という本が有名です。
 一言で言えば「感情は自分のものではない」という学説を持っています。恋の感情すらも全く関係ないところから来ると言います。
 さて、彼はカリフォルニア工科大学というところで教えています。
 その大学のペントハウスに研究室がありました。
 建物の左上の方がそれです。



 下條さんの研究室は、ご覧の通り、素晴らしい場所にあります。
 前の芝生では、近所の家族が子供と遊んでいました。
 下條さんの研究室を訪れました。まず一つは、目線に対する実験です。
 パソコンに美女二人を出します。どちらが好きかという問いを被験者にします。
 被験者にはアイカメラが付けてあります。
 今下條さんが付けているのがアイカメラで、被験者の目線が測れます。
 パソコンに出ている美女は一人がカメラ目線で、もう一人はカメラ目線ではありません。
 被験者の多くはカメラ目線のほうの女性を見つめて、その人の方が好きだと言います。
 今度はカメラ目線ではなかった方の女性をカメラ目線にして、先ほどまでカメラ目線だった女性を横顔にします。
 するとやはり、カメラ目線の女性を好きだと言います。
 つまり、目線を向けられた方を好きになるのです。
 ですので、話をするときは、相手の目を見る方が特です。
 写真を撮られるときは、カメラ目線が特です。
 もちろんそこで微笑むと、その写真を見ている人は、自分に対して微笑んでくれたと(無意識の)錯覚をして、その人を好きになります。



 さて、ここまでは学術的にも発表したりして、とても良い研究として評価も高いです。
 でも、裏の話も教えてくれました。
 この方法を使うと、好きとか嫌いとかいう感情を操作することが出来ることです。
 実際にある企業から、この件についてのスポンサーになるから具体化する研究をしてくれという依頼もあるそうです。
 下條さんの研究室の入り口には、下のような棚がありました。
 それは被験者(特に子供)に対するお礼のノベルティなのでした。



 最初はお金をあげていたらしいのです。例えば10ドルとか・・
 でもある時、「1ドルの実験」というのをやりました。
 被験者を100ドルの報酬を与えるというグループと1ドルの報酬を与えるというグループに分けて、同じ実験に参加させました。
 すると100ドルを与えた人よりも、1ドルを与えた方が満足したのです。
 なぜかと言えば、1ドルの人は自分で満足を見つけようとしたのです。
 別の実験では、子供にお絵描きをさせると、報酬が少ない方が良い絵を描いたのです。
 結局、報酬は少ない方が良かったのです。
 それで、棚には原価1ドル以下の物品が列びました。しかも自分で選べるという・・・
 こういう事は、下條さんの本にはなかなか登場しません。
 しかし訪ねて行って実際に見ると、狭い範囲を研究している研究室そのものも、社会に対する大きな研究室に変わらねばならないことがわかります。

「感情は自分のものではない」(2004/04/06)

 1ドルの報酬という件も目線の件も、全て「感情は自分のものではない」ということに関係しているのです。
 これに関する彼の最新実験を見せてもらったのですが、彼はとんでもない領域に入りつつあります。
 下條さんは自分でも言っていますが「主観」という問題に切り込んだ、初めての人かも知れません。
 好きとか嫌いというのは「主観」です。客観は自分の物ではないという見解に対して、主観は自分のものだという考え方が世の中には根強いです。
 科学が進歩して色々なことが解明されても、自分の感情だけは他の人とは違い、自分のものだという「誤解」があります。
 下條さんがどうやって被験者を集めているのかと言えば、ダイレクトメールなのです。
 これには結構、びっくりしました。
 プロモーションビデオまで作ってあるのです。こわごわと申し込んだ人にそのビデオを見て、安心してもらうのです。
 そしてプロモーションビデオはハリウッドのプロの人に作ってもらったそうです。
 下條さんの論文が、世界最高の科学論文誌「ネイチャー」に載るかも知れないと言っていました。私の運命論と同じくらいにすごい考え方だと思います。
 彼の書庫に、チベット密教の本があったのが印象的でした。
 下條さんの最新の研究は、「自由意志は自分のものか?」・・です。
 六爻占術の運命論の問い方を変えた感じです。
 東洋人だから、このアイディアが浮かんだのだと思います。
 これを実験で証明しようとする下條さんは、まさに心理学の神坂さんだと思います。
 脳に対する電流の与え方が、まるで私とか神坂さん的なのです。
 脳とか頭蓋骨に全く損傷を与えないで、脳に信号を与えるのです。
 これを自由意志の問いに繋げたところがすごいと思います。
 外からの刺激が、自由意志と区別がつかないのです。
 キリスト教に毒されたアメリカ人には、発想しても、あり得ないのです。
 私の新刊本にはこれと似た問いが出てきます。
 しかし新刊本は、下條さんの上を行っていると思います(上も下もありませんが(笑))。
 なぜなら私は、その問いの先を書いているからです。

自由意志に切り込む(2004/04/07)

 下の写真は、下條さんの実験室にあった貼り紙です。
 中央の白い点を見つめ続けると、オレンジの部分が広がります・・



 下の写真はモザイクがかかっています。下條さんはある物を持っています。
 それを使うと、何と、遠隔で脳の局部に刺激を与えることができます。



 さて、被験者に「右の指を動かしてみて下さい」と言ったとします。
 そのとき、被験者が右の指を動かす直前に遠隔から右の指を動かす刺激を与えて、指を動かしたとします。その直後に被験者が自分の指令が原因で指を動かしたとします。
 「どちらが自由意志の行為ですか?」と聞かれて、それに答えられなかったら・・・

天才(2004/04/08)

  
 下條さんは、26歳の時に留学しました。
 それまではT大学で研究をしていました。
 そして留学先で試験を受けたときのことです。
 その課題は下條さんがテーマとしているものでした。学科が同じとは言え、テーマまで一緒の人はいませんでした。
 下條さんは当然一番が取れると思いました。それで一番が取れなければ、自分はそれまで何をやってきたのだと自問自答する必要まで出たそうです。
 しかし・・・二番でした。
 しかも一番は、何と14歳の子供でした。
 その子は飛び級をして、何と大学院まで来た天才でした。
 しかし・・・そうやって飛び級をする子は、大人まで「残らない」そうです。
 どこかでプッツンするのだそうです。
 一番だった子も、あるとき大学に来なくなったそうです。
 飛び級をする必要など、何も無いと思います。
 「勉強」は学科だけではないはずだからです。

ユニバーサル・スタジオ(2004/04/08)

 すごいチケットのお陰で、ガンガン回れました。



 どんなに列んでいても、一番前に行けます。どんなに混んでいても、席はリザーブ・・
 これが40ドルです。高いでしょうか??
 アメリカ人がなぜ買わないのか、不思議です。チケット売場で売っているのに・・
 そう言えば、日本人も買った人はいませんでした。
 しかしこのチケットがどんどん売れると、このチケットそのものの意味が無くなります。
 もしかすると、事前にものすごいマーケッティングをやったのではないでしょうか・・
 理由が分かりました。
 普通のチケットで入った人は、1時間待ちとかに列んでいます。
 しかし私は、誰も列んでいない「Aライン」という列をトコトコ・・と。
 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」とか、どんなに人気のものも、一切列ばないで入れました。しかもショーの時は、一番良い席がリザーブされて、そこに通されます。
 でも、このチケットには、一つの秘密がありました。
 中に入ってから、買い換えることが出来ないのです。
 チケット売場は、入り口とはだいぶ離れているので、中が見えません。
 しかもチケット売場は、かなり閑散としています。
 ですが、中はメチャ混んでいたのです。
 つまり、予知が出来る人は、40ドルの「確実な投資」をすることができます。
 しかし普通の人にとっては「不確実な賭け」です。
 運命は後から変えることができません。
 40ドルを投資した人は、その後、あらゆるショーやプログラムで、富豪のような扱いを受けることができます。それは、チケット売場の一瞬で決まります。
 運命の法則そのものだと思いました。
 このチケットは、中がすいていると、効力がゼロです。
 ですが混んでいればいるほど、威力は増えます。
 他のVIPのチケットの類とは違う点です。
 他のVIPチケットは、混んでいようがいまいが「差」は出るからです。
 ほとんどの人は、チケット売場の閑散としている状況から経験則で判断しました。
 しかし入場してから後悔した金持ちはいたはずです(笑)。
 これは「選択型の運命」と同じです。後で変更しようとしてもダメなのです。
 たらいに乗ってリモコン操作をしている図が浮かびます。
 そのチケットは、こんなに宣伝されていました・・・



 FRONT OF LINE PASS・・・
 運命の分かれ道には、こうして目立つ看板(サイン)があるのかも知れません・・・

UCLA(2004/04/10)

 下の写真は、UCLAのグッズ売場です。
 アメリカの大学は公立を私立が上回っています。
 つまり私立に行かないとダメだというのが一般的な見方です。
 そんな中で公立大学の中で頭角を現したのがUCLAです。
 その秘密は、グッズにあるのではないかというのが、私の仮説です(笑)。
 このグッズ売場を見れば、わかりませんか?これでも1/10しか写っていません。



 そして・・コーヒーに入れる砂糖ですら、「UCLA」が入っていました(笑)。
 もちろん学生の多くは、UCLAのトレーナーを着ていました。
 この(宣伝)のためのマーケッターがいるのではないでしょうか・・・


カリフォルニア工科大学(カルテック)(2004/04/11)

 下條さんはカリフォルニア工科大学の教授です。
 この大学を以下、略してカルテックと言います。
 下條さんは言いました。「この大学は科学の分野ではアメリカで一番です。」
 私は訊きました。
 「えっ、マサチューセッツ・工科大学(MIT)が一番ではないですか?」
 「はい、MITはテクノロジーの分野では一番ですが、サイエンスではカルテックが一番です。」(カルテックもMITもハーバードも私立です。)
 池にはさりげなく二重螺旋が書いてありました。



 カルテックには800人しか学生がいません。UCLAには一万人を越す学生がいます。
 しかしカルテックからは20人を越すノーベル賞受賞者が出ています。
 人数比では全米一です。
 ノーベル賞を取ったくらいではカルテックでは有名になることはできません。
 でも銅像になったノーベル賞受賞者がいました(笑)。下の写真がそれです。



 なぜ銅像になったかというと、この大学のマーケッティングをやったからです。
 彼は金持ちにダイレクトメールを出し、この大学にお金を出さないかと持ちかけました。
 その見返りは、「大学に作った高級レストランに来て、ノーベル賞クラスの教授たちといつでも食事ができる」というものでした。
 これがウケたのです。そういう繋がりは絶対に金で買えるものではなかったからです。
 そしてカルテックは湯水のような研究費を捻出できたのです。
 誰にも頼らず、金の流れまで作ったカルテック・・・
 私が訪問した日はたまたまレストランが休みだったので、下條さんは「今度来たとき、是非食べていって下さい」と言いました。
 レストランの中で、バックトゥザ・フューチャーのドクのような格好をしている人は教授で、蝶ネクタイをしている人が金持ちだそうです(笑)。
 ところでカルテックにいる教授たちはほとんど無宗教だそうです。
 でも一人だけキリスト教の教授がいたので、下條さんが酒の席で問い詰めたそうです。
 「宇宙はいったい誰が作ったのか?」
 彼はしどろもどろに「神だ」と答えたそうです(笑)。
 しかしその教授が日本に来たとき、下條さんは高野山に連れていきました。
 そこで下條さんは無意識に手を合わせてしまいました。
 それを見た教授は「いったいそれは何だ?あれほど神の議論をふっかけながら・・」
 下條さんがしどろもどろになったのは、言うまでもありません(笑)。

ウサギの自殺本

 サンタモニカに行った折、ファッションを売っている店でこの本を見つけました。
 自殺の仕方を書いてあります(笑)。
 卯(うさぎ)が主人公です。
 表紙は、ウサギがトースターに飛び込んで、自殺しているところです(笑)。



さて、この本の最高傑作を出します。



 これがサンタモニカの、ファッショナブルな洋服店の店先で売られていたのです。
 神を信ぜず、自由に好き勝手を始めた人類を、神は滅ぼそうとしました。
 「こんなはずではなかった」・・と(笑)。
 ノアと、動物の代表だけが生きることを許されました。ノアは従順だったからです。
 そして、ノアと同様に従順な動物たちが、列んで箱船に乗っています。
 そして自殺するウサギは、日光浴と読書にいそしんでいます。
 これほど神をバカにした絵があったでしょうか?私ですら、ここまでは描けません。
 いえ、バカにしているのではないと思います。
 生き物に勝手に生(せい)を与え、自分(神)の価値観に合わないからと、世界をリセットしようとする神に、最大の抵抗をしているのです。
 「こんなこと(選ばれた人たちと次の世を生きること)に付き合うよりも、死んだほうがマシだ」・・・と。

『ペイチェック』(2004/04/13)

 帰りの機内で見た映画は『ペイチェック』です。
 この映画は、未来を見ることができるという機械を開発するプロジェクトに参加した天才技術者の話です。
 このプロジェクトに参加すると100億円を得ることができますが、開発が終わった時点で、その間の記憶はすべて消されるというのが条件でした。
 三年という開発期間が終わったとき、彼は意外な結果を知ります。
 機械の開発は大成功したのですが、彼は自分が100億円を拒否しており、その代わり謎のアイテムが入った封筒だけを受け取るのです。
 そして現実生活に戻った直後から、機械の開発を依頼した会社からも、FBIからも狙われます。
 でも逃亡を助けるのは、封筒に入っていたアイテムなのです。
 メガネ、バスチケット、スプレー、鍵・・・これらが次々に彼の命を救います。
 そうです。この封筒は記憶を消される前に、自分が自分宛に出した郵便だったのです。
 つまり、未来を知った彼は、未来の自分を救うアイテムを自分に送ったのです。
 なんとまあ、このホームページ向きの話題作です(笑)。
 ところで、未来を知ることの出来る機械で未来を見ると、この機械が原因で、世界戦争が起こるのです(笑)。
 株式市況が大暴落し、その機械を作った会社の株が急騰します。
 不思議研究所も上場していれば、急騰するでしょうか?(笑)。
 自分を救えるアイテムを未来の情報から得る・・六爻占術はこれに近いかも知れません。
 ラブあり、アクションありで、結構楽しめますが、映画館に見に行くほどではないと思います。生き方的には大したことは無いからです(笑)。
 レンタルビデオに回ってきたとき、超ヒマだったら、見ても良いかも知れません。

アメリカ観光旅行最終書き込み(2004/04/13)

 新刊本を書き終えて、『「不思議の友」11』も書き終えて、フッとタイムスポットができました。この旅行はもともと予定していたとはいえ、タイミングは良かったです。
 娘が去年の8月の初旬にアメリカに留学しました。
 娘の留学と同時に私は中国に行きました。
 中国では命の玉を出す女性などに会いました。生まれ変わりの村に行っているとき、出版社の編集者の方からメールが来て、新刊本の話が始まりました。
 そして今回娘の滞在先を訪れているとき、新刊本の初刷りが日本から届きました。
 出来事は、全て結びついています。もちろんそこに意味などはありませんが・・・
 今回の旅行では下條さんの実験室を見ることができました。
 カルテック(カリフォルニア工科大学)で心理学を教えながら研究をしている下條さんは、まさに最先端を行っていました。
 なぜなら誰もやっていない領域に切り込んでいるからです。
 心理学は二手(ふたて)に分かれています。一つは脳とか身体にまつわることだけを研究する分野、もう一つは心とか精神だけを研究する分野です。
 下條さんはその両者を合体させた分野に切り込もうとしています。
 「自分は無い」とか「無の世界」というのは精神だけの世界であり、そこに身体的な分析が入ることはほとんどありませんでした。
 しかし「自分は無い」ということを、身体を通じた実験から切り込もうとしています。
 釈迦の悟りに、科学的に迫ろうとしている言っても差し支えありません。
 日本人だからこそできるテーマかも知れません。
 下條さんとの夕食は、しゃぶしゃぶでした。それを提案すると
 「いいねぇ、森田さんは日本酒もいけますか?」と訊かれました。
 やはり彼も生粋(きっすい)の日本人です(笑)。
 夕食の席で彼は言いました。「アメリカ人は意外に科学嫌いなのです。科学で物を考えるという人は、ほんの一握りにすぎません。」
 これを聞いて、そうかも知れないと思いました。
 アメリカは日本よりも宗教色が強く、科学は宗教の後ろに位置すると思います。
 その点、日本人は宗教(自然)も科学(超自然)も受け容れていると思います。
 つまり両者の融合ができているのです。
 私がやっている分野も同様です。六爻占術というのは自然の中から生まれたものでした。
 それを科学の分野に引きずり出したいと思います。
 その行為は、神(奴)を引きずり出したいと思うことと同じです。
 引きずり出したいとは言え、神(奴)に恨みはありません(笑)。
 ただ単に、知りたいだけなのです。
 私は日本に帰ればサイン会やら、ノベルティ作りが待っています。
 新刊本がどのくらい売れるかわかりませんが、「運命は決まっていない」とか「思えば叶う」とか「人生はカルマの解消のためだ」と言っている人たちに、ちょっとした問いかけをする本だと思います。
 それが結果的には社会を変えるか・・・分かりませんが(笑)。

書き込み期間:2002/03/26〜2002/04/07